バリ島アグン山の噴火、今後起こりうる日本(特に東北地方)の稲作への影響が気になります。
私がまだ高校生だった1993年の平成米騒動、確かな記憶が脳裏に残ってます。
この年の夏は記録的な冷夏に見舞われ、豊かな穀倉地帯を有す東北地方の夏は例年と比較し2~3℃も低温となり、盛夏にぐんぐんと育つ稲に大打撃。結果、その年の秋の収穫量は大きく減少し、政府はタイ米を輸入して当座をしのぎました。
当時はお米屋さんへ言っても日本米が売り切れで、あっても古米、古古米しかなく、社会が結構恐慌パニック状態になっていた記憶があります。
東北大震災の時も近所のコンビニ、スーパーマーケットからお米を含む食料品が買い占めで無くなり、日々当たり前にいつでも手に入れることができると思っていた食料が手に入らず、ちょっと慌てました。
震災が起きる度に日常の当たり前だと思っていたことが当たり前でなくなる、頑強だと思っていたライフラインがあっけなく機能不全を起こす、当たり前なことって意外と脆いです。
話は逸れましたが、1993年の大冷夏、これは1991年のフィリピン、ピナツボ山の噴火と関係があると考えられてます。
日本の気温研究の大家、近藤純正東北大名誉教授の論文”1993年の大冷夏”によると、過去300年間を調べてみると世界的な大規模噴火(成層圏に届くほどの)の直後の夏とその次の夏に、東北地方で冷夏による大凶作が起きる確立が高いと述べてます。
また、噴火当年含む3年間のうち、少なくとも一回は大冷夏に見舞われると。
大規模噴火が起きると地球全体では0.2~0.3℃ほどの気温低下でも、東北地方の夏は2~3℃も低温になるとの研究結果を発表してます。
1993年夏は1991年6月15日のピナツボ火山噴火のその次の夏に相当するとも記載されてます。
ここで話は冒頭のアグン山噴火に戻りますが、今後大規模な噴火が起きる可能性を英オックスフォード大学の専門家が警告してます。
1963年の破壊的爆発に至る過程と同じと複数の専門家が指摘。この時の噴火で生じたエアロソルによって、地球の平均気温は約1年にわたり0.2~0.3度低下した。たいへんなことが起きつつあるのかも。/バリ島のアグン山、大規模噴火の恐れも 専門家 https://t.co/60ZBlr1FaX
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) 2017年11月29日
前回アグン山が噴火したのは1963年。1600人の死者を出す破壊的爆発で、最高26kmもの噴煙柱が発生とのことですが、この規模の噴火が起きるとピナツボ火山の噴火に匹敵し、東北地方は今後3年の間に大冷夏に襲われる可能性があると解釈してもよいのではないでしょうか。
当ファームで育てているお米、「つや姫」「はえぬき」ともに品種改良で冷夏に強いと言われてますが、例外的な異常気象にどこまで対応できるのか、正直まだ未知数です。こうした耐冷品種でも異常気象が発生すると昔と同様な大凶作が起こりうると近藤教授は指摘しています。
うーん、まだ起きてもいないことを不安視してもしょうがないですが、一稲作農家として近隣農家さんとともに引き続きまじめに生産に取り組み、震災や異常気象時でもできる限り安定したお米の供給を消費者の方々へお届けできるよう心がけていきます。
こうした可能性もデータ化して生産量を予想していくことも次世代の農家にはもとめられていくのでしょう(キリッ